2011/03/07

faifaiイベント 「FAIFAI Pyjama’s Party @WOMB」に行ってきました。



女装の私が、渋谷円山町のWOMBで開催されたfaifaiのイベントに行ってきました。以前から気になっていたパフォーマンス集団faifaiのイベント初参加です。パフォーマンスではなくクラブイベントだということで、気楽に「踊るぞ」ってな気分で向かいました。








はじめに会場の説明をさせてください。WOMBは渋谷のど真ん中、円山町にある大きなイベントスペース。メインフロアは3階までぶちぬきの高い天井。そこには巨大なミラーボールと多彩な照明と大きなスクリーン。比較的狭いフロアを補って余りあるほどの環境です。電気グルーヴの石野卓球さんもレギュラーイベントをされる場所。そんなWOMBでパジャマパーティーです。それだけで興味深い。





パジャマパーティーの構成はDJタイムとイベントタイムが交互に開催される、ライブでよくあるタイプでした。踊りが好きな人はめいめいダンス。友達同士はお酒を片手に踊りながら喋りながらイベント待ちます。少し疲れた人は2階、3階にあるスペースに場所を移して近況を話す。人を紹介し、人を紹介され、お酒をおごり、おごられ、またフロアで踊る。イベントが始まれば、ステージを向いて参加する。少し違うのは、フロアで踊っている人の大半が白やピンクや縞々のパジャマを着ているということだけです。








少なくとも私はパジャマで踊ることに、まったく違和感を感じていませんでした。見渡せば、普段から着ている(だろう)デパートの売り場にありそうなパジャマ、ドン・キホーテで買ってきたようなパジャマらしいパジャマもあれば、キグルミもいる。とにかく、フロアにいる人の大半と、パジャマを着ていることを共有できている。単なるドレスコードよりも安心できました。修学旅行の夜、昼は制服や私服で分かれていた個人がパジャマに着替えてひと部屋に押し込まれた瞬間に生まれる共感に似た、やんちゃな、子どもっぽいリラックスがWOMBに生まれていたんです。





フロアに増えていくやんちゃな子どもたちに提供される音楽は、“マルチネレコーズ”のDJ達がまわすポップなダンスミュージック。聞いたことのあるアニメの主題歌や台詞のリミックス。間に挟まれるファイファイの「ネムレナNightダンス(動画)」はまるで眠る前のラジオ体操です。DJプレイで好き勝手遊んでいた子供たちが、同じ動きのお遊戯でほんの少しおとなしくなる。そして続く「ダルマさんが転んだ」や「大縄跳び」は、まるで統制された幼稚園の子どもたちのお遊戯の時間でした。(今思い起こせば、だけど。あの時は全くそれすら感じなかったのです。ただただ楽しかった。)








そして、枕投げが開催されます。修学旅行の夜のクライマックスです。狂ったように徘徊する“悪魔のしるし”のメンバーへ、枕を思い切り投げつける。狂った悪魔に見えるから遠慮も何もいりません。ファイファイメンバーは「もっと投げて!」とけしかける。子どもたちは笑顔のままで、大人の力で枕を投げつける。だから枕は裂けて羽を撒き散らす。舞った白い羽は、それは綺麗なんだけど「ストーップ!」と号令が聞こえて動きを止めた子どもたちの顔は、笑顔というよりも放心状態でした。 髪を入れずに悪魔のしるしの「百人斬り」が開始されました。





指示される通りにパジャマを着た子どもたちは所定の位置へ。ハードロックがかきならされる中、恐ろしいメイクを顔に施した男に向かって、一人また一人と斬られる為に突進していきます。ここで説明しておきますが、百人斬りは“ごっこ”です。刀はもちろんイミテーション。観客参加型のパフォーマンス。配られたカードに書かれた“斬られ方”を観客は演じ、斬られます。「ドロップキックを食らわせるが、倒れた所を斬り殺される」など、凝った指令が書いてあるものですから、人は楽しく斬られに、つまり死に向かいます。生きる事と死ぬ事をたて続けに体験し、死んだ後は折り重なる死体の一部として何かを待ち続ける。あまりにもリアルな“ごっこ”を経て、子どもたちはまた「ネムレナNightダンス(動画)」を踊り、マルチネレコーズのDJ達のプレイに体を揺らすのでした。








ミラーボールと照明とダンボールで作られたキラキラ星たちの下 、パジャマと「眠れなダンス」の中和という共通感覚の安心を感じながら、なんでもありの大はしゃぎをするという夢のような世界がWOMBにありました。私もそれを感じていました。フワフワと体が浮いてしまいそうになるような強烈な楽しさを堪能して、「さあ帰ろう」とWOMBの扉を開けたとたんに現実が突きつけられました。ピンク色のネオン煌く暗いラブホテル。真っ黒いスーツの男。息を潜めて歩けば窓が黒いクラウンが横を通る。ダボダボスーツの男性の腕を引っ張る金髪女性 。道玄坂に出たら酔っ払いの叫び声と、無国籍なデンジャラス。ああ、なんていうことだ。どうしようも無い街並み。パジャマパーティーで感じた夢のような世界とは全く違う、これが私たちの生きている世界だったと、改めて知らされたのです。





パジャマパーティーは、この現実を知らせるための前フリじゃないか、と思うほど楽しいイベントでした。そういえばイベント会場のWOMBは日本語で「子宮」を意味します。なんだよ、束の間の夢を与えて置きながら、産み落とされた後は知らないってか。すごい切ない気分になりました。





元気で、楽しい、幸せに満ちたパフォーマンスをしながら、でも、見ている人には現実に向きあったり複雑さを再認識する切なさを与えている。そして、そのことをちゃんと知っているんだろうな。faifaiは。だから強烈なパフォーマンスを、つくり続けているんでしょう。そういう真面目さをメンバーの表情や大人っぽさから感じました。次のイベントも楽しみだ。





ところで、faifaiは「快快」と書きます。これ、中国語で「速い」という意味なんです。…何が速かったんだろう。次のイベントでこれがわかるといいな。