三嶋章義「Hierarchy」を見てきました。



女装の私が、広尾にあるNANZUKA UNDERGROUNDで開催されている(7/30まで!)三嶋章義の展覧会「Hierarchy」を見てきました。









アルミの板にスプレーで何層もの色を塗る。その板を折り曲げて磨く。磨かれた場所から色が顔をのぞかせてくる。三嶋氏自身も想像の付かない表情を見せるその板は、人の顔だ。板で組まれた三段のピラミッドに13個の顔が並べられている。糸の施されたもの、鋲を打たれたもの、細長くそびえるように折られ両端を編み上げられたもの。表情が違う、そして置かれている場所が違う。しかし、それらは全て、アルミの板。ペラッペラの。








10~20もの色が塗り重ねられているアルミの板。カラーチャートを用いて重複を無くした色の層は、とはいえ、三嶋氏自身の想像の外から表情を持ち出してくる。まるで子どもだ。”偶然”という一言では片付けられない想像の外からの来訪。しかし彼らは”HIERARCHY(ヒエラルキー)”に取り込まれる。








私から見た彼ら(色を重ねられ、折り曲げられ、磨かれたアルミ板)は、ピラミッドの外側を向いて、鑑賞者の側を向いて展示されていた。自分たちがどの階層にいるのかを知らされていないかのように。もしくは、現状を直視していないかのように。ヒエラルキーに取り込まれた彼らは、一つとして同じものは無い。「同じだ」と断言することを拒否するかのように個性を見せている。折られたアルミ板 -つまり環境に強いられた形- の違い、塗り重ねられた色の層 -つまり歴史- の違い…。同質の板で組み上げられたピラミッドの単調なイメージが、余計に個性を強調する。しかし、それらに関係なく”HIERARCHY(ヒエラルキー)”はそこにあった。









呪術的なまでの執拗さでつくられた作品です。在廊されたご本人と少しお話をさせていただき、製作過程のお話も少しお聞きすることができました。とても気持ちの良い方でした。スプレーの粉塵から身を守るためにマスクを着用して篭られるそうです。長髪で、がっしりした長身の方が一心不乱に制作されるお姿は、素敵でしょうね。。。はっ。閑話休題。ご本人は”FUGAHUM” http://www.fugahum.com/ というブランドのデザイナーをされています。こちらのショーが毎回コンセプチュアル。ぜひチェックしてみてください。








ところで、作品が並んでいるシンプルなピラミッドの裏側を、展示の構造上、見ることができます。シンプルで強制的なHIERARCHY(ヒエラルキー)の中に三嶋氏が置いたモノ。今後はインスタレーションを考えられているとの事。楽しみです!