第15回文化庁メディア芸術祭受賞作品展に行ってきました。

女装の私が、国立新美術館で開催されている第15回文化庁メディア芸術祭受賞作品展に行ってきました。展示数が多く、またアート、マンガ、エンターテインメント、アニメーションと部門がわかれていましたので、覚えているものについていくつか触れる程度のレビューにしたいと思います。


Que voz feio(醜い声)
山本 良浩




取手で見た時は展示方法が違いました。今回は大きなスクリーンへのプロジェクション。コントラストもはっきりしていて見やすかったですね。映像の内容のみに焦点があたってわかりやすかった。取手では、部屋の真ん中にガラスがぶら下げられていて、そこに映像が投影されるという展示方法。「相似」と「差異」が透明のガラスに投影され私達と同じ目線の位置に掲げられている。インスタレーションとしても興味深い内容だったのを覚えています。「イメージ、音、文字、展示形式など、映像を「見る」という行為を異なる認識の多重体と捉え、短編映像作品とインスタレーションを制作」している山本良浩さん。これからの作品(映像そのものだけではない)が本当に楽しみです。

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particles
真鍋 大度 / 石橋 素


何かこう時間が進む事というか、変化には大掛かりな仕組みや音が伴うがそれに引き換え目に見える変化の現象は微細で気づくのにそれこそ時間が必要だなあと、とてもうるさい部屋の中で感じておりました。右奥の縦長ディスプレイの端末で八の字に流れる光の玉の点滅を操作することができます。神としての体験。光をみつめる人々の虹彩の収縮をタッチパッドを触る私の動きで操作していることの、ちょっとした快感。作品と一対一で対峙するのとはまた違った体験ができます。これこそメディア芸術祭の醍醐味なのかもしれませんね。

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BLA BLA
Vincent MORISSET


これもparticlesに似た楽しみがありました。私がパッドを使って画面の中のやる気ないキャラクターとコミュニケーションしている様を、15名あまりがただ眺めるという時間を運良く体験することができました。不思議です。私はBLABLAの作品の一部になっていたんでしょうか。どちらを楽しむかは人の性格によって違うと思いますが、私は、もちろん、パッドを使ってご自分でコミュニケーションされる事をおすすめします。家でも楽しめるけどね。
http://blabla.nfb.ca/

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Monkey Business
Ralph KISTLER / Jan SIEBER


可愛いんです。ただニコニコと壁にぶら下げられているその様子を観て、ふと恐ろしくもなりました。同じ動きをしているロボットと自分を重ねる。ニコニコとした無表情で生きているフリ、コミュニケーションしているフリをしているけれども、それは不自然で何かにぶら下げられていて…そして真似るべき対象がいなければ動けない。気づくはずです。私たちの真似をしている猿のロボットを操作しているはずが、主客が交代し、猿によって動かされている自分がいることに。深読みかもしれないですが、反省だけなら猿でもできる、真似だけならロボットでもできる。人間はどこに向かう。

あー。

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Soak Yunsil HEO / Hyunwoo BANG


気持ちい作品だったけれども、もっと大きな布で体験したかったし、たぶんそれが作品のはずだったのでは。

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I MAY HAVE LOST FOREVER MY UMBRELLA Johan GRIMONPREZ


個人の存在はいくらでも曖昧にすることができるけれど、曖昧にしていく過程でその存在が明らかにされていくという感覚。

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即席紙芝居 佐々木 遊太


向島でやってほしいなあ。

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以上。メディア芸術祭受賞作品についてのレビューではなく、メディア芸術祭受賞作品展のレビューでしたー。

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■第15回メディア芸術祭・受賞作品展
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