「Hellen van Meene: Dogs and Girls」at Gallery Koyanagiを見てきました。


女装の私がGallery Koyanagiで開催されている「Hellen van Meene: Dogs and Girls」を見てきました。大小様々な写真が20点弱、無表情に近い少女の写真と動物(犬や鶏や兎)がセットに展示されています。印象的なのはそのサイズ。少女よりも動物の写真の方が大きくプリントされていました。


少女の無表情を見ると、私が昔関わった広告を思い出しました。それは不登校児が通う学校の教師募集の広告。本来であれば写真に撮られたくないしましてや広告に掲載なんてもってのほか、と言われていた「生徒の顔」を撮影して使用しました。先生と生徒に広告で伝えたいメッセージを説明し、説得し、理解していただいた結果です。そのメッセージとは「私たちは弱くない。強くもない。不登校という選択をした、ただそれだけ。選択がみんなと違うだけ。同じ子どもなんだ。」という内容でした。子ども達には不登校という選択をしたその瞬間を思い出してもらうようお願いしました。撮影したその顔は、無表情としか表現のしようがないもので、しかし強い。その強さは特別ではない。子どもと向き合った事がある人ならば必ず一度は見るであろう子どもの濁りない目と訴える閉じた口が、当然のようにそこにあるのです。不登校児は劣っているのではないし可哀想な子どもではない。


Hellen van Meeneの写真にある少女は、少女と女の中間の年齢です。不登校児とは年齢も違いますから、そこにある背景は全く同じではありません。ただ、コミュニケーションを重ねることで、カメラの向こう側とこちら側をつなぐパイプが太く短くなったような。最小限でシャープなコミュニケーションで余すことなく背景全てを伝える力が写真には込められていました。


動物を同列に置くことで共存へのメッセージを伝えているのか、どうか、私にはわかりません。ただ動物と少女の写真の共通点の多さ(もちろん意図的にですが)に気づきました。家というコミュニティにおいて動物の占める面積は大きくなり、その他家族を構成するヒトより大きくなる方もいらっしゃることでしょう。否定しているつもりはありません。必要不可欠なパートナーとなったのは事実です。Dogs and Girlsはもはや共通で、愛玩の対象、コミュニケーションの対象で、そして環境の被害者です。


環境の劇的で一方的な変化を生き抜いてきたという意味に置いては、Dogs and Girlsは、強者なのかもしれません。コミュニティを見直すきっかけとなる展示になるはず。ぜひご覧ください。


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Hellen van Meene: Dogs and Girls
ヘレン・ファン・ミーネ:Dogs and Girls
10 FEB - 31 MAR 2012
Gallery Koyanagi

※上記の写真は以下のサイトより引用いたしました。
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