2012/03/31

「超群島 - HYPER ARCHIPELAGO "3.11以後、アーキテクト/アーティストたちは世界をどう見るか?"」を見てきました。



女装の私が表参道gyreで開催されている「超群島 - HYPER ARCHIPELAGO "3.11以後、アーキテクト/アーティストたちは世界をどう見るか?"」を見てきました。ディレクターが同じ(飯田高誉氏/青森県立美術館チーフ・キュレーター)だからでしょうか。2011年大阪での堂島リバービエンナーレで出展されていた作品が数点あり、作品それ自体では既視感のある展示でした

同じ作品でも展示する空間、場所、そして文脈が変わればまた違う経験を得ることができます。世界とは「超群島」と捉えられる3月11日震災以降の日本の構造です。堂島ビエンナーレでは「未来に向けての地球のビジョンや自然観を考察」した作品が展示されていました。藤村龍至さん、大庭大介さんの作品は大阪と同じものでしたが、コミュニティにおける役割・動機の設計や(都市ではないという意味の)自然との距離は「超群島」でもそのメッセージは機能していたように感じます。石井七歩さんはいくつか大阪展示と同じものがありましたが、総じて都市それも小さい単位での都市やビル群の擬人化(少女化)でした。単純にサイズを小さくしたのでなく、単一で、正方形のブロックをそのまま積み上げた画一的な都市やビル群。「安全神話」への問題提起は記号化された少女に対する畏れに近い。いつもながら恐ろしく美しい作品です。

スプツニ子さんの菜の花ヒールはシューズデザイナー串野真也さんとのコラボ。菜の花は土壌の放射性物質浄化を促します。新たな女神の降臨か。大地は女性性を持ちます。汚された自身の体はファッションとテクノロジーによって装飾された女性性により自浄される。男性性をもって例えられる政治に対する諦め。男性である串野真也さんとのコラボと明記されていることが、ほんの少しの希望かな。

ブラックボックスアルゴリズムのGoogle画像検索を用いて街をつくるGraffiti@GoogleはteamLabの実験。そこまでして街をつくろうとするモチベーションは何なのか。疑問に思わない事が疑問。しかし結果、そういった「まちづくり」の活動が続けられてきた事実は、確かにある。

その他、dot architects+水野大二郎さんの作品などが展示されています。4月16日まで。

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「超群島/HYPER ARCHIPELAGO」
会期:2012年3月11日(日)〜4月16日(月)
時間:11:00-20:00
会場:EYE OF GYRE
参加作家:磯崎新、スプツ二子!、teamLab、大庭大介、石井七歩、SAM [田尾松太+井口美香]、キュルル feat. チハルチロル、dot architects+水野大二郎、403 architecture[dajiba]、mashcomix+TEAM ROUNDABOUT、藤村龍至

2012/03/25

六本木アートナイト Roppongi Art Night を見てきました。

女装の私が、六本木アートナイト Roppongi Art Night を見てきました。TwitterのTimeLineを眺めているとあれこれ意見の分かれるイベントでしたね。とにかく、六本木らしいお祭りだったのではないでしょうか。何年か、長く続けば六本木というまちに作用するでしょう。

例えば私は「六本木が浄化されている」という言葉を目にしました。何(A)を何(B)から浄化するのか、「浄化」を考える人によって(A)と(B)は違う単語が入るでしょう。「浄化」を言う人は六本木に課題を感じ、アートナイトがそれに作用している、もしくはしていくであろうと期待しています。

例えば「六本木が活性するだろう」という言葉を目にしました。六本木は活性していないのでしょうか。ある時点の、六本木が最も元気だった時期と比較すると今は減ってしまったと言う人がいます。私はこの夜、お腹が空いたのでラーメン屋に入りました。普段以上のお客さんの入りに店員はパニック状態。隣に座っていた地元のおじちゃまらしき人のオーダーはなかなか来ません。おじちゃまは連れのスナックのママにぼやいていました。「なんだよもう、人多すぎじゃねえか。」手にはアートナイトのチラシがありました。「それなんじゃないの?」ママはチラシを奪い、開きます。「なんだかよくわかんねえなあ。ふ〜ん。あ、なんだ商店街の組合が関わってんじゃねえか。」悪ぶっていたおじちゃまは急におとなしくなりました。そして店の人に何ら言いがかりをつけることなく、その状況(客がたくさんいる状況)を楽しむようになりました。

私個人は、こういったお祭りは苦手で、そもそも夜遊びが苦手な年齢にもなってしまいましたし。夜通しであることを楽しめませんでした。しかしながら、このイベントがまちに何か作用している、六本木らしいイベントであったことは確かです。続けることが大事。

《ヤヨイちゃん》《リンリン》(新作、六本木アートナイト2011年委嘱作品)

タムラサトル 《六本木マシーン》 

 志村信裕 《jewel》

 志村信裕 《jewel》 

久野ギル 《The Antmaster》 

久野ギル 《The Antmaster》 

草間彌生《ヤヨイちゃん》《リンリン》(新作、六本木アートナイト2011年委嘱作品)
テイ・トウワ DJプレイ


 草間彌生《ヤヨイちゃん》《リンリン》


草間彌生《ヤヨイちゃん》《リンリン》

ホアン・スー・チエ 《オーガニック・コンセプト》 

ホアン・スー・チエ 《オーガニック・コンセプト》  

ホアン・スー・チエ 《オーガニック・コンセプト》  

泉 太郎 《糸ミミズのためのスケートリンク》 

泉 太郎 《糸ミミズのためのスケートリンク》  

泉 太郎 《糸ミミズのためのスケートリンク》  

チームラボ×高橋英明 《浮遊する楽器》  

チームラボ×高橋英明 《浮遊する楽器》 

池田光宏《by the Window "六本木アートナイト2012バージョン"》 

池田光宏《by the Window "六本木アートナイト2012バージョン"》  

墨東まち見世にも参加いただいた事のある池田さん。この作品が今回もっとも楽しめました。いるいるこういう窓の向こう。バナナ一つで盛り上がる事ができる窓の向こう。六本木ってなんだか一夜のパーティーナイト。

 SPECIAL LIVE MUSIC curated by Musicity Tokyo
オオルタイチ×珍しいキノコ舞踏団

SPECIAL LIVE MUSIC curated by Musicity Tokyo
オオルタイチ×珍しいキノコ舞踏団

遠藤一郎《未来へ号 RAINBOW JAPAN2012》  

遠藤一郎《未来へ号 RAINBOW JAPAN2012》   

遠藤一郎さんお疲れ様でした。未来へ号が六本木に来たのは2回目でしょうか。あそこまで素直に人に向き合える人が、この一年、日本を縦断しながら人と触れ合うのはつらいこともあったでしょう。たくさんの人のサポートと、そしてご自身の強い気持ちがあったからできたのだと思います。Islandの伊藤さん、清水さん、そして冠ちゃん、お疲れ様でした。(直接私が言えるのは顔と名前を知っている人だけなので全員ではありません。恐れ入ります。)

《AIR CUSHION SHOW》 

ヴィヴィアン佐藤さんが津村耕佑さんの企画に参加されていました。この夜は少し肌寒かったのを覚えています。「寒くないですか?」と聞くといつもの怪しい優しい笑顔で「暖かいのよ」と返すヴィヴィアンさん。2時間ちかく六本木ヒルズ内にこの格好でいらっしゃったとか。歩く家ですね。

志村信裕 《赤い靴》 

 東京ミッドタウン5周年記念アート『いつつのゆびわ』
【クリエイティブプロデューサー】 
坂巻善徳 a.k.a. sense 
【アートディレクター】 
GwaGwa 
【六本木アートナイト特別演出】 
Sawako 
【音響デザイン協力】 
Fly Sound、Taguchi

Antenna《ジャッピー御輿》 

 Antenna《ジャッピー御輿》 


Antenna《ジャッピー幸せ玉》 

Yotta Groove 《花子》  


 牧野永美子+山崎裕治 《純情のこみち》


《命の足跡》 



 Antenna《六本木六世堂》

 Antenna《六本木六世堂》 

青木美歌 《syringe(IDNo.3 Y.S.)》

冒頭で真面目な事を書いていたらそれぞれの作品について触れる体力が無くなってしまいました。いや、言い訳に聞こえるかもしれませんが、作品について一つ一つ説明する事はアートナイトには必要ありません。六本木に夜通し居る理由を人に与えることができただけで、素晴らしいのですから。

2012/03/16

『RYUGU IS OVER!! ―竜宮美術旅館は終わります』を見てきました。

女装の私が、『RYUGU IS OVER!! ―竜宮美術旅館は終わります』を見てきました。18日までという事で、会社有休を取りまして向かいました。日の出町へ。こういう時に限ってカメラを忘れる。一日に用事を詰め込みすぎるとこういう事に…。


チケットがあれば会期中何度でも入館できるそうです。私は1223人目。


入り口。淺井裕介さん、八木貴史さん、志村信裕さんの《Goldfish》がお出迎え。玄関に投影された金魚の映像。水槽に飛び込むような気分で玄関を開けると、珈琲の匂い。L PACKさんの喫茶店《L CAMP》も18日まで。八木貴史《愚者の手》は扉の取っ手になっていました。色鉛筆を集積し造形された作品は、なぜだか時間そのものを集積したかのよう。そういえば子どもの頃、色鉛筆が短くなるのを寂しく感じたのを思い出します。


1階の作品は撮影していませんでした。何でだ。まあいい。八木貴史さんの作品を楽しみに浴室へ。先に目に入った志村信裕さんの《lace》に見とれ、何気なく握ったそれが八木貴史さん《デクノボウ》という作品でした。八木さんの作品は生きているようにも見えます。細胞が分裂しようとしているその瞬間を捉えたような。

森田浩彰+大久保ありさんの《ワンダーフォゲルクラブに入会するための良い答え、もしくは、4千円を手に入れるためのまあまあの答え》は作品を見て小説を読みまた作品を見るという流れでニヤニヤ。

階段を上り二階へ。


天窓が綺麗。Yu-Cheng Ta《adj. Dance》がお出迎え。そのまま進んで武田陽介さんの《コタツ》で一息。あ、淺井裕介さんの作品がいるね。


たぬき。

 

狐?


ところで、ミカンは食べられるらしい。テレビの収録がきていたけれど、仕込みの女の子がムシャムシャと食べていました。美味しそうだった。

SHIMURABROS.の《MMY:Mouse Made in YOKOHAMA》の映像は上から覗き込んで鑑賞します。積み上げられたガラスに断面が映ります。人間…ではない。なんだろう。まさかミッキー◯◯ス?断面で見るとまったくわからない。でも何かのぬいぐるみでアイドルなんだろうという事はわかりましたた。アイドルの断面。

丹羽良徳さん《自分の所有物を街で購入する》は良かった。キオスクで購入した雑誌を持って書店に入りその雑誌をレジに持っていき再度購入するという映像。その他同じコンセプトで作られた作品が2つ、合計3つの映像を鑑賞できます。書店で貨幣は何と交換されたのか。

さて、丹羽さん、京島に住んでいるという話を聞きました。っていうか家の前まで行ったことがあります。丹羽さん今度挨拶にいきますね。不可能性と交換行為を主軸においた作品を展開されている彼を、私は、ルーマニアで社会主義者を胴上げするという作品で知りました。東欧革命を知らない若者と社会主義者を結びつける作品。


これは狩野哲郎さんの作品《自然の設計/Naturplan》。私はこれが一番楽しかった。しばらくずっと眺めて、作品の中を動いて林檎の裏側をのぞいてニヤニヤしてた。竜宮美術館だからこそ楽しめたんだと思います。甘い匂いがなんとも言えない。


この建物に住んでいただろう人間ではない彼ら。本当にいたんだろうか。想像しかできません。ただ視覚嗅覚でその存在を想像する事ができます。

青田真也さんの作品。静かです。緑色の光は、竜宮美術館の色つきガラスを通った日光です。一日中ここで眺めたくなる。スペインのレオンで私が入り浸った大聖堂を思い出しました。


mamoruの《etude no.11 steel hanger》は、可能ならば揺り椅子に座ってゆっくり鑑賞していただきたい作品。あれは座ってよかったのかな。狩野哲郎さんの作品と同じくらいに時間を過ごした部屋でした。


これ、この椅子。ここに座ってゆっくり鑑賞したい。エアコンの風でゆれるハンガーが触れ合う音、音。乾燥した静かな響きと余韻。小さな和音は目を閉じると小さなオーケストラに感じる事ができます。まさにエチュード。銀色の味気ないそれは、私たちに想像の習作を与え練習させ、即興でそれぞれの音楽を奏でます。



作品の写真は以上。以降は竜宮美術館内の写真を数点掲載します。

竜宮美術館、この建物が日の出町にあり続ける意味、存在意義についてアーティストたちは何度も議論してきました。視点はいくつもあり、まちの人、まちに訪れる人、アーティスト、行政、ネットニュースで眺める人、その他の人、色々。

この建物は面白いし、生まれたコミュニティや偶然性や連鎖から引き続き誰かの記憶に残る存在になるでしょう。ともすればバラバラになる人と人を繋げる形の無いメディアになるはずです。



「面白いから潰すなんてひどい!」と短絡的に捉えられない存在だという事がわかりました。まちの再開発とともに消えていく建物。60数年の間に何があったのか、知らない私は言えません。「残すべきだ」と誰が言えましょうか。『RYUGU IS OVER!! ―竜宮美術旅館は終わります』が開催されたのは、長い歴史に幕を下ろすことが決定した竜宮美術館があったから。今日、この展示を経験できた事に感謝し、この建物が無くなる事実を、ただその事実を受け入れようと思います。

竜宮美術館、お疲れ様でした。


しかし、なんだろうこの喪失感。ぽっかり風が通り抜けるようなこの感じ。これを埋めるのは、竜宮美術館について誰かと語りあう時間、竜宮美術館を知る誰かの存在だけなんだろう。